秋が深まり、紅葉の便りが届く季節になりました。
外出したい気持ちはあるものの、岩手県内では熊の出没が増えており、不要不急の外出は控え気味に。
その分、自宅で「芸術の秋」を楽しむようになりました。
今回は、国立国会図書館のオンライン展示サービス「NDLイメージバンク」で鑑賞した「妖怪絵」、特に河童の絵に注目してご紹介します。
「NDLイメージバンク」とは
NDLとはNational Diet Library, Japanの略称で、日本一の蔵書数を誇る国立国会図書館(東京都千代田区永田町)のこと。
同館が公開している「NDLイメージバンク」では、所蔵する浮世絵や雑誌、図書などから選りすぐりのビジュアル資料をテーマ別に閲覧できます。
著作権保護期間が満了した画像を扱っているため、申込不要で転載可能なのも特徴です。
今回鑑賞したのは「妖怪」をテーマにまとめられた浮世絵。
こんな恐ろしい絵もあれば、

こんなかわいらしい絵もあります。

おどろおどろしい絵から、愛嬌のある絵まで幅広く揃っており、見ていると青森ねぶたに描かれる妖怪たちを思い出しました。
ねぶた師たちも、こうした浮世絵を参考にしてきたのかもしれません。
浮世絵の影響の大きさを改めて実感します。
鳥山石燕と月岡芳年が描いた河童の浮世絵
妖怪絵の中でも特に目を引いたのが「河童」。展示には二点の河童の絵がありました。
- 鳥山石燕『百鬼夜行 3巻拾遺3巻』河童
- 月岡芳年『和漢百物語 白藤源太』


河童が描かれた箇所の拡大はこちら↓

鳥山石燕は江戸時代、月岡芳年(号:一魁斎芳年)は幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師です。
どちらの河童も不気味さが漂うものの、じっと眺めていると次第に愛嬌を感じるようにもなります。
体表面の模様や湿った質感が生々しく、リアルさとユーモアが同居しているのが印象的です。
ユーモラスに描かれた河童の妖怪絵
月岡芳年には、河童を描いた別の作品も残されています。
その作品は『深川木場川童臭気に辟易』。NDLイメージバンクの展示ではなく、太田記念美術館所蔵で、同館がこの作品についてポストしていました↓
人間の放屁攻撃を嫌がる河童の姿がユーモラスに表現されています。
同じく芳年による『和漢百物語 白藤源太』の河童は力強い相撲を取る姿が描かれていましたが、両作を比べると、親しみやすい存在としての河童像が見えてきます。
妖怪絵で笑わされるのは、少し予想外でした。
河童というと、先日岩手県遠野市の道の駅で買ったぬいぐるみ、はむかっぱを思い出します。
🧭 関連記事:【かっぱのふるさと】風の丘で出会った「はむかっぱ」
こうして河童絵を見た後だと、現代の河童像はずいぶん愛らしくなったと感じます。

今回鑑賞したのは妖怪絵でしたが、「NDLイメージバンク」には美人画や琳派、版画など多様なテーマの展示が揃っており、随時更新されるコラムも楽しめます。
美術館で直接鑑賞する経験はもちろん貴重ですが、自宅にいながら歴史的な絵画を幅広く知ることができるのもオンラインならではの魅力です。
これからも「NDLイメージバンク」を通じて、芸術の秋を楽しんでいきたいと思います。