先月のニュースで少し前の話題にはなりますが、青森県庁に「行幸啓室」という部署が新設されることになったそうです。
「なぜこのタイミングで?」と思ったら、来年の令和8年(2026)、青森県で国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会(以下「国スポ」)が開催される予定とのこと。
国スポは、かつて「国民体育大会(国体)」と呼ばれていた全国規模のスポーツ大会のこと。
この大会にあわせて皇族の方々が青森県をご訪問されることが想定されており、その対応のために設置されたのが、この「行幸啓室」なのだそうです。
青森県庁に「行幸啓室」設置
私が今回目にしたのは、産経新聞2025年3月17日配信の「令和7年度青森県人事、異動者数は過去10年で最多の2323人 『行幸啓室』設置」という記事です。
その中で、「組織改正では来年、県内で開かれる国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に伴う皇族ご来県対応のため総務部に『行幸啓室』」を設置すると紹介されていました。
ちなみに「行幸啓」という言葉について、宮内庁ホームページ「お出ましに関する用語」では次のように説明されています。
- 行幸(ぎょうこう):天皇が外出されること
- 行啓(ぎょうけい):皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃が外出されること
- 行幸啓(ぎょうこうけい):天皇・皇后がご一緒に外出されること
- お成り:天皇・皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃以外の皇族方が外出されること
「行幸啓」とは、天皇陛下と皇后陛下がお二人で外出される場合に用いられる、特別な敬語だったのですね。
私はこれまで、「行幸」と「行啓」を単に総称する言葉かと思っていたのですが、それぞれ細かく敬語の使い分けが決まっているのですね。
昨年の国スポでのご視察
昨年、佐賀県で開催された国スポでは、天皇皇后両陛下は大会へのご臨席に加え、地方事情のご視察として以下の施設を訪問されました。
ご視察先 | 所在地 | 分野 |
㈱ジェイエイビバレッジ佐賀本社・鹿島工場 | 鹿島市 | 地元産業 |
肥前浜駅・HAMA BAR | 鹿島市 | 酒蔵文化 |
福富ゆうあい館 | 白石町 | 地域交流 |
来年の青森大会でも、両陛下が県内各地をご視察される可能性が高いと考えられます。
現在、青森県庁ではご視察先の選定や警備体制の整備など、綿密な準備が進められているのではないでしょうか。
昨年の佐賀国スポでは、両陛下に加え、他の皇族方も佐賀県をご訪問になったそうですので、今後の動向にも注目が集まります。
また、正仁親王妃華子殿下は津軽家のご出身でもありますので、もしご来県が叶えば、地元にとっても大きな喜びとなるでしょう。
ただ、長距離のご移動となるため難しいかもしれません。
青森県でのご視察先は?
佐賀県でのご視察先を見ると、地元産業・文化、地域交流など、地域の多様な魅力に触れられていることがよくわかります。
青森県においても、たとえば津軽地域では、りんご関連施設や津軽塗工房、こぎん刺しの体験施設などが候補に挙がるかもしれません。
特に、この冬の大雪によりりんご産業が大きな打撃を受けたことから、復興に向けた歩みを両陛下にご覧いただく機会が設けられる可能性も考えられます。
また、八戸市を中心とする南部地域は、水産業をはじめとする産業が盛んであり、青森県の経済事情を知っていただくうえでもふさわしい視察先となるのではないでしょうか。
個人的には、大正天皇がかつて行幸された弘前公園も、ご視察先の一つとして挙がってほしいと願っています。
今回、青森県庁に「行幸啓室」が設置されたというニュースに触れ、故郷の青森県が少し特別な存在に感じられました。
青森県は津軽・南部・下北それぞれに特色がありますが、国スポを通じて、県全体の魅力が少しでも多くの方に伝わることを願っています。
参考資料
- 「お出ましに関する用語」(https://www.kunaicho.go.jp/word/word-odemashi.html)
- 「天皇ご一家のご日程:令和6年(10月~12月)」(https://www.kunaicho.go.jp/page/gonittei/show/2?quarter=202404)
<ウェブサイト>
- 産経ニュース「令和7年度青森県人事、異動者数は過去10年で最多の2323人 『行幸啓室』設置」(2025/3/17)(https://www.sankei.com/article/20250317-HQICMNQL2NPQXBZD35BPBSTYTQ/)
- 佐賀県ホームページ「SAGA2024国スポ・全障スポ 皇室と佐賀 フォトアルバム」(https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003111190/3_111190_up_ti8ll064.pdf)
- 青の煌めきあおもり国スポ