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【青森とラトビア】オカムラ食品工業が作る「第三のサーモン養殖拠点」とは?

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突然ですが、私、ときどきオンラインで「会社四季報」を読むのが趣味です。

検索機能を使って、ついつい気になるキーワードを追ってしまうのですが、今日は最近このブログでも何度か取り上げている「ラトビア」という国名で検索してみました。

すると、なんと、青森県の上場企業の記事でラトビアという文字を発見

その企業とは、青森県青森市に本社を構える「株式会社オカムラ食品工業」(以下、オカムラ食品)。

サーモンの養殖や、水産品の加工・販売を手がける東証スタンダード上場企業で、私も青森に住んでいた頃にこちらの商品にお世話になったことがあります。

そんな私にとって親しみのある企業が、今まさに私が関心を持っているラトビアと関わっていることに驚きました。

グローバル企業へ進化するオカムラ食品工業

実は、青森に暮らす友人と最近オカムラ食品について話をしたばかりでした。

友人がぽつりとこう言ったのです、「オカムラ食品はもう、私たちの知るオカムラ食品じゃないんだよ」と。

えっ、それってどういう意味?と思い、気になって公式ホームページを見てみると、確かに昔のイメージとはかなり違っていました。

私の記憶にあるオカムラ食品は、地元のタレントを使って津軽弁のCMを流す、「いかにも地元企業」という雰囲気でした。

あのCMには当時とても親しみを感じていたのですが、今の公式サイトはとてもスタイリッシュなんです↓

株式会社オカムラ食品工業
オカムラ食品工業グループは、海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続けることをミッションとし、サーモン養殖事業、国内加工事業、海外加工事業、海外卸売事業の4つの事業を柱とした垂直統合型のビジネスモデルでグローバルに事業を展開しています。

公式サイトによれば、海外への進出にも積極的で、アジアやヨーロッパにも拠点があるとのこと。

昔から海外事業を手がけていたようですが、津軽弁のCMがあまりにも印象的だったので、「グローバル企業」というイメージにはなかなかつながらなかったのかもしれません。

ラトビアを「第三のサーモン養殖拠点」に

さて、このオカムラ食品について「会社四季報」には「ラトビアでの養殖へ現地企業と協業」と記載されていました。

この件について調べてみたところ、2025年6月、オカムラ食品がラトビアの企業を孫会社化していました。

オカムラ食品工業の連結子会社であり、サーモンの養殖事業を行うデンマークのMusholm社が、ラトビアのRBA(Riga Bay Aquaculture, AS)という企業の株式を取得したことにより、RBAがオカムラ食品の孫会社になったという話です。

RBAはサーモントラウトの養殖を行う企業であり、オカムラ食品にとってラトビアは「日本、デンマークに続く第三の養殖拠点」という位置づけとのこと。

今後リガ湾で養殖事業が本格化するとのことで、リガ湾を地図で確認。想像以上に広大な湾でした↓

ラトビアの首都リガはリガ湾の中央に位置しており、市内にあるリガ港はバルト海沿岸の中でも重要な港のひとつとされています。

歴史的に、通商・軍事の要衝として重要視されてきたことがうかがえます。

 

この件に関するオカムラ食品発表の資料によると、養殖事業は利益率が高いとのこと。

ここでふと思い出したのが、岩手県が近年力を入れているサーモン養殖。

これまで何度か岩手県の養殖サーモンについては、宮古トラウトサーモン久慈産サーモンを食べたことがありましたが、なるほど、サーモン養殖に取り組む理由の一端がわかったような気がします。

研究機関が主導するラトビアの養殖改革

この件に関連してラトビアの水産養殖業について調べてみたところ、EUの資金支援を受け研究機関が中核となって人材育成や技術支援に取り組んでいることがわかりました。

中でも、研究と産業の橋渡しを担う「TOME水産養殖センター」では、ラトビア生命科学技術大学やラトビア大学と連携し、学生への講義や見学会を実施。

公的研究機関と学術機関が連携し、起業家や学生への支援を通じて、養殖産業の基盤作りが進められているようです。

今回のようなオカムラ食品とラトビア企業との協業も、自然な流れとして受け入れられているのかもしれませんね。

 

ちなみに、ラトビア大学は先日来日されたリンケービッチ大統領の母校で、大統領はここで政治学の博士号を取得されています。

また、以前書いたブログでも触れましたが、ラトビア大学は平成19年(2007)に天皇皇后両陛下(現在の上皇上皇后両陛下)がラトビア訪問された際の御視察先でもありました。

国名を冠した大学ということもあり、なんとも風格と歴史を感じさせるたたずまいです↓

画像出典:Wikimedia Commons「Latvijas Universitāte」撮影:ogre11(CC BY 3.0)

ラトビア名物を日本で味わえる日は来る?

ラトビアのサーモン事情について調べていたところ、あのラトビア出身のインフルエンサーのX(旧Twitter)の投稿を見つけました。

 

こちらはラトビアのインフルエンサー、アルトゥルさんによる投稿。

見た目はまるで揚げパンのような一品が「燻製三つ編みサーモン」だと紹介されています。

ドイツのプレッツェルのような照り具合のこの料理を見て、サーモンの燻製とわかる人はちょっといないかもしれません。

ラトビアの食文化を知る良い機会となったと思いつつ、いつかこの料理がオカムラ食品経由で日本の食卓に並ぶかもしれない、なんて希望的観測をしてしまいました。

燻製三つ編みサーモンを食べる機会があったらなぁと思います^^

 

2025年5月にリンケービッチ大統領が来日された報道をきっかけに、関心を持つようになったラトビアという国。

故郷である青森県の企業とこのような形でつながっていたことに驚きつつも、このつながりをきっかけに日ラトビア関係がますます深まっていって欲しいと感じました。

参考資料

<ウェブサイト>

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