便利な時代になりまして、ここ最近はYouTubeで青森ねぶた、弘前ねぷたの中継を楽しんでいます。
8/2に開幕した青森ねぶたですが、初日に出陣したねぶたの中に岩手県北上市に関係するものがありました。
そのねぶたで表現されていたのは、なんと北上市の鬼剣舞!
鬼のお面をつけて踊る北上市の伝統芸能です。
このねぶた、一体どんなテーマなの!?
「東北の雄 阿弖流為と鬼剣舞」
このねぶたを運行しているのは、東北電力ねぶた愛好会です。
ねぶた師は立田龍宝氏。内山龍星氏の弟子であり、第5代ねぶた名人の千葉作龍氏の孫弟子です。
ねぶたのタイトルは、「東北の雄 阿弖流為と鬼剣舞」。
阿弖流為(アテルイ)とは、平安時代に朝廷の軍と戦った東北の英雄で、ときどきねぶたのテーマになることがあります。
東北電力のX(旧Twitter)アカウントがこのねぶたの写真と動画を上げてくれています↓
中央にいるのは阿弖流為で、両脇には、鬼の面をつけて刀を振りかざす踊り手の姿が。
この踊り手こそ、北上市の伝統芸能、鬼剣舞です。
炎の中、舞い踊る姿がかっこいい^^
朝廷と戦った東北の英雄、阿弖流為
このねぶたについて、青森ねぶた祭実行委員会の公式ホームページは解説を掲載しています。
その内容をまとめるとこんな感じです↓
- 八世紀末、桓武天皇は東北蝦夷征伐の令を下し、朝廷は現在の岩手県奥州市付近に進攻
- 蝦夷の将軍である阿弖流為は抵抗し、朝廷の軍は敗北する
- その後、征夷大将軍に任命された坂上田村麻呂が進攻、蝦夷を平定する
- 阿弖流為は盟友とともに京に上がるも斬首される
- 後に田村麻呂は蝦夷の霊の鎮魂のために清水寺を建立したという
阿弖流為と言えば、以前訪れた盛岡市の大宮神社を思い出します。
坂上田村麻呂が阿弖流為の一族に苦しめられたことを受け、朝廷は蝦夷平定を伊勢の神宮に祈願。
その際に賜った神宮の御分霊が大宮神社の祭神となりました。
朝廷の軍が阿弖流為たちに苦戦していたことは大宮神社の歴史から理解していたんですが、この解説を読むと、予想以上に朝廷は手こずっていたんですね^^;
阿弖流為を「東北の雄」と呼ぶ理由がよくわかります。
蝦夷平定の後、坂上田村麻呂は阿弖流為たちの助命を要請します。
しかし、朝廷が拒否したため、阿弖流為たちは処刑されてしまいました。
朝廷の判断は仕方がないと思いますが、その一方で、阿弖流為たちの命を助けようとした坂上田村麻呂の行動は覚えておきたい歴史です。
後の武士道に繋がる精神性を感じました。
鬼剣舞のルーツは鎮魂のための剣舞
阿弖流為と鬼剣舞がどう関係しているのか?先ほどの解説を読み進めると………
- 鬼剣舞とは、刀を振りかざし、五色の忿怒の形相の鬼面をつけて勇壮に舞い踊る北上市の民俗芸能
- 蝦夷の地と言われた東北の地で御霊となって亡くなった方々の鎮魂の儀式とも言われている
え、鎮魂?怖い鬼のお面だから、てっきり勇ましい踊りなのかと勘違いしていました…。
阿弖流為の両脇にいる鬼剣舞の踊り手は、阿弖流為の霊の鎮魂の舞を踊っているんですね。力強くかっこいいねぶたですが、もの悲しいメッセージも感じます。
調べてみると、今年の4月、東日本大震災の追悼慰霊復興祈願のための鬼剣舞が北上市で開催されていました。
大昔から現在に至るまで、鬼剣舞は亡くなった方々の霊を供養するとても重要な郷土芸能なんだなぁと…。
北上市も夏祭りシーズンに入り、今日からみちのく芸能祭りが開催されています。
明日の夜には北上駅前で鬼剣舞が見られるらしいです。
ちょうど鬼剣舞に興味を抱いたタイミングで本物の鬼剣舞を見る機会に恵まれるなんて、ツイてる?
明日は市外に行く用事があって慌ただしいのですが、鬼剣舞を見に行けるようなんとか都合つけようっ。
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