歴史を学ぶ

【盛岡歴史探訪】原敬首相が参拝した大宮神社と坂上田村麻呂の伝説

歴史を学ぶ

2023年5月、原敬記念館を訪れた際、その近くにある大宮神社にも立ち寄りました。

原敬首相の生家に隣接するように建てられた原敬記念館の周囲は、現在では商業施設も立ち並び、にぎやかな地域となっています。

しかし、少し車を走らせると、のどかな風景の中に静かに佇む大宮神社が現れました。

原敬記念館から車で約5分の氏神様

大宮神社は原敬記念館から車でおよそ5分の場所にあります。

神社の境内には立派な樹々が並び、澄んだ空気と静寂が漂っていました。

訪れた際は、狛犬が迎えてくれ、自然と背筋が伸びるような気持ちに。

狛犬が迎えてくれました。

生前の原敬首相も、この神社をたびたび訪れていたそうで、氏神様として大切にされていたことが伝えられています。

原敬首相は1921年に逝去されており、2023年は没後102年にあたります。

100年以上前に原敬首相もこの地で手を合わせていたかと思うと、感慨深いものがあります。

御鎮座から1220年――坂上田村麻呂とアテルイ伝説

大宮神社の創建は古く、なんと御鎮座1220年を迎えていました(2023年時点)。

その起源には、坂上田村麻呂と蝦夷の棟梁・アテルイ一族との戦いが関わっています。

以下は、大宮神社の由緒として伝えられている内容です(参考:大宮神社公式ホームページ)。

  • 延暦年間(8世紀末)、征夷大将軍・坂上田村麻呂がこの地で高丸(アテルイ一族)と戦う
  • アテルイ一族の勢力が強大だったため、坂上田村麻呂は一度帰朝
  • 朝廷を通じて伊勢神宮に平定祈願し、天皇の勅命で神宮の御分霊を賜る
  • 神主・鈴木母多里麻呂藤原正純と共に再び奥州へ向かう
  • その際、神宮の外宮の御分霊を奉じて、大宮神社が御鎮座

青森出身者としては、坂上田村麻呂とアテルイの物語がねぶた祭の題材としても知られているため、まさか盛岡でその伝承に触れるとは…と興奮してしまいました^^

樹齢630年!記念植樹のモミの木

大宮神社のもう一つの見どころが、境内にそびえる巨大なモミの木です。

なんと、推定樹齢は約630年

空が見えない!

モミの木といえば本来は寒冷な地域で自生するものですが、説明書きによると盛岡はその天然分布地から外れているとのこと。

それでもここまで大きく育ったというのは驚きです。

このモミの木は、永徳2年(1382年)後小松天皇の即位を祝って植えられたとされるもの。

現代風に言うと、“記念植樹”といったところでしょうか。

現代でも、何かの節目に記念樹を植える文化はありますが、長く残るのはなかなか難しいもの。

600年以上も健在であるこのモミの木は、それだけでもこの神社のシンボルと言えるでしょう。

写真を撮ろうとしても、フレームに収まりきらないほどの高さでした!

 

原敬ゆかりの神社として、また古代東北の歴史に深く関わる神社として、大宮神社は非常に魅力的な場所でした。

観光地として大々的に紹介されることは少ないかもしれませんが、盛岡を訪れた際にはぜひ立ち寄ってほしい場所のひとつです。

静かで穏やかな空間で、岩手の歴史と人の営みに思いを馳せる時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

  • 訪問場所:大宮神社
  • 住所  :岩手県盛岡市本宮大宮51
  • 訪問時期:2023年5月
タイトルとURLをコピーしました