前回に続き、秋田県仙北市・田沢湖レイクリゾートの滞在記をお届けします。
これまでのブログでは、水野敬也さんの書籍『夢をかなえるゾウ0』をきっかけに、
についてご紹介しました。
今回は、同書でガネーシャ(主人公を導く神様)から出された課題のひとつ、「実物を見る」を実行した記録です。
「この世界を知る方法は、ただ一つ。『実物を見る』ことだ。実物にできる限り近づき、見て、触れて、感じることだ。そのとき君は気づくだろう。この世界がいかに美しく、感動に満ちあふれたものかということを。そしてこう思うだろう。『もっと、この世界を知りたい』と」(出典:『夢をかなえるゾウ0』)
そんなガネーシャの言葉を胸に、私は旅の終盤、田沢湖へと向かいました。
真夏の暑さに疲れを感じていた中、目の前に広がったのは、言葉を失うほど美しい湖の青。
その神秘的な風景と、湖にまつわる「たつこ姫の伝説」に触れたひとときを、今回は書いていきます。
日本一深い湖は神秘的な青さだった
今回訪れたのは、田沢湖の西側。
湖畔にある「斎藤商店」で買い物をし、その駐車場をお借りして散策を始めました。
田沢湖は、太古の火山活動によってできたカルデラ湖とされており、周囲約20km、水深は423.4m。
日本で最も深い湖です。

湖の青さは、場所によってグラデーションのように表情を変えます。
湖畔近くは驚くほど透明で、ウグイの泳ぐ姿がくっきりと見えるほど。

湖の中心部に向かうにつれて、深く鮮やかな青へと変化していくその様子は、海とも異なる独特の美しさをたたえていました。

この風景を見ていると、秋田県民歌の一節が頭をよぎります。
神秘の十和田は田沢と共に
出典:NHKホームページ「WEB特集『都道府県民歌』知っていますか?歌えますか?」
世界に名を得し誇の湖水
山水皆これ詩の国秋田
まさにこの歌詞のとおり、田沢湖の青さには「詩の国秋田」を象徴する美しさがありました。
龍になった美女、たつこ姫の伝説
斎藤商店の前には、金色に輝く「たつこ像」が立っています。

凛とした佇まいのこの像は、田沢湖にまつわる伝説の象徴でもあります。
仙北市の公式サイトによれば、田沢湖には「たつこ姫の伝説」が伝えられているとのこと。
その概要を簡単にご紹介すると…
- 昔々、永遠の美を望んだたつこという美しい少女がいた
- ある夜、彼女は「北の泉の水を飲めば願いが叶う」というお告げを聞く
- 彼女はお告げのとおり泉へ向かい、水を飲み続けたが、飲めば飲むほど喉が渇く
- やがて泉が枯れるほど飲み干したたつこは、龍へと姿を変えてしまう
- 龍となったたつこは田沢湖の主となり、湖底深くに沈んでいった
湖の神秘的な青さと、底知れぬ深さ。この自然の姿が、龍の伝説を生んだのだと思わされます。
川や海とは違う、どこか異界に通じるような雰囲気が、確かにこの湖にはあるように感じられます。
ちなみに、たつこが暮らしていたとされる「院内」は、秋田県南部の雄勝地方にあります。
雄勝地方は、かの小野小町ゆかりの地でもあり、古くから“美人の里”として知られています。
そう考えると、たつこ姫の美しさにも納得がいきますね。
たつこ姫の伝説の始まりを空想する
伝説の中でたつこは「泉が枯れるほど水を飲んだ」と語られていますが、これは自然災害と結びついているのではないか?そんな想像も湧いてきます。
スサノオノミコトが退治したヤマタノオロチは洪水や土砂災害の象徴だったという説があるように、田沢湖周辺でもかつて数多くの自然災害が起きてきました。
縄文時代の遺跡も多く発掘されているこの地域では、古くから人々が湖とともに暮らしてきました。
近くには火山・秋田駒ヶ岳もあり、玉川の氾濫など、水や火にまつわる脅威は決して他人事ではなかったはずです。
たつこが水を飲みすぎて湖に姿を変えた、という伝承には、もしかすると「田沢湖が一時的に干上がった歴史的現象」や「湖をめぐる信仰」が投影されているのかもしれません。
真偽はさておき、そうした自然と人との歴史が伝説という形で今も残っていることに、感動を覚えました。
ガネーシャの言う「世界の美しさに気づく」、「もっと、この世界を知りたいと思う」という言葉。
田沢湖を訪れて、私もまさにその気持ちを味わった気がします。
暑さは厳しかったものの、太陽に照らされた田沢湖の美しさに魅了されたひととき。
ガネーシャの課題「実物を見る」を、無事やり遂げることができました。
今回の旅のヒントにした書籍『夢をかなえるゾウ0』はこちら。ご参考までに↓
- 訪問場所:田沢湖 たつこ像
- 住所 :秋田県仙北市西木町西明寺潟尻
- 訪問時期:2023年7月