今、私が少しずつ調べている青森県弘前市出身の先人、陸羯南。
新聞「日本」を創刊した明治のジャーナリストで、正岡子規の支援者としても知られている先人です。
つい最近、陸羯南初心者の私にとってありがたい資料を見つけました。
陸羯南の生涯を漫画化した作品が今年、完成していたのです。
子どもたちのための漫画
東奥日報の記事によると、この漫画は青森県の弘前市教育委員会が小中学生向けに製作したもの。
「不屈の精神でわが国の言論界に大きな足跡を残し、郷土の偉人として語り継がれている羯南の足跡と志を子どもたちに知ってほしいという願いが込められて」いるんだそう。
陸羯南に憧れてジャーナリストを志す子どもも出てきたりして。
ちなみに、私の父は学生時代に陸羯南に憧れていたらしく、今でも陸羯南の漢詩を暗記しています。
この漫画を読んで、父が憧れた理由がわかったような気がしました。意思が強くてかっこいいんです。
さて、この漫画の製作陣はこちらの方々です↓(敬称略)
- 漫画:仁山渓太郎 (漫画家)
- 原案:櫛引洋一 (弘前市立郷土文学館企画研究専門員)
- 監修:舘田勝弘 (陸羯南会会長)
弘前市立郷土文学館は陸羯南の資料を多数収蔵する施設。専門家の方が原案、監修を担当しているので、貴重な情報が多く、読みごたえがありますよ。
また、偉人を描いた漫画は教材のような雰囲気がありますが、この作品は漫画として楽しく読めました^^
なお、この漫画はこちらのサイトで無料公開されています↓
陸羯南の輝かしい学友たち
漫画の中では、陸羯南が数多くの人々と出会い、刺激を受けながら成長していく姿が描かれています。
その中でも私が印象に残ったのは、陸羯南が学生時代にともに学んでいた学友たち。
歴史に名を残す先人がたくさんいて、驚きました。
東奥義塾時代
明治6年(1873)、陸羯南は15歳のときに弘前の東奥義塾に入学します。
このとき、東奥義塾に在籍していたのは………
- 珍田捨巳 (昭和天皇の侍従長)
- 佐藤愛麿 (外交官)
- 一戸兵衛 (陸軍大将)
- 伊藤重 (養生哲学の創始者)
珍田捨巳は昭和天皇の皇太子時代の欧州外遊に随行し、後に昭和天皇の侍従長を務めた人物です。
この外遊を積極的に進めたのは、当時の首相、原敬でした。
こうして見ると、珍田捨巳と陸羯南、原敬は同世代の東北出身者!活躍の歴史が誇らしい^^
<追記>
陸軍大将の一戸兵衛については後日こちらのブログに書いたので、よろしければご覧ください。
その後も一戸兵衛と陸羯南は交流があったそうです。
司法省法学校時代
陸羯南は家計の事情で東奥義塾を退学した後、仙台師範学校に入りますが、そこも退学に。
その後、陸羯南は上京し、東京帝国大学法学部の前身である司法省法学校へ。そこでの学友は………
- 原敬 (第19代内閣総理大臣)
- 加藤拓川 (外交官、正岡子規の叔父)
- 福本日南 (新聞「日本」創刊者)
- 国分青厓 (新聞「日本」創刊者)
加藤拓川は正岡子規と出会うきっかけを作り、福本日南と国分青厓は後に「日本」を創刊する仲間に。
この司法省法学校時代に、その後の陸羯南の人生に深く関わる人物と出会っていたんですね^^
以前のブログでも触れていますが、この当時、司法省法学校で食事をめぐる騒動が起きます。
陸羯南、原敬らは騒動に関わっていませんが、仲間のために校長に直訴、その結果、退校処分に…。
利他の精神、というんでしょうか、すごいなぁ…。
文字で見ていてもすごいと思いましたが、こうして漫画化されると、陸羯南たちがより輝いて見えます^^;
佐藤紅緑について書いたブログでもお伝えしましたが、この漫画の原画展が弘前市にて開催中です。
なんとか都合をつけてこの企画展に行こうと考えています。
涼しい日を狙って行きたいものですが、今年の状況を見ていると、そんな都合よくは行かないかな…。
- 企画展 :スポット企画展「マンガ陸羯南 原画展」
- 観覧料 :小・中学生50円、一般100円
- 開催期間:2023年7月22日(土) ~ 2023年9月24日(日)
- 休館日 :年末年始(12月29日~1月3日)、展示替期間(3月22日~3月31日)
- 開催場所:弘前市立郷土文学館(青森県弘前市大字下白銀町2-1)
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